この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は鼻に用いる薬について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
動画の方が理解しやすい方は、動画をご覧ください。
①ベンザルコニウム塩化物は、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌及び結核菌に対する殺菌消毒作用を示す。
こちらは誤です。
正しくは
ベンザルコニウム塩化物は、結核菌には効果がない
です。
殺菌消毒成分の対象となる微生物を問う問題です。
殺菌消毒成分は主に皮膚に用いる薬や公衆衛生用薬で出題されますが、例題のように他の範囲でも問われます。そのため、必ず押さえなければなりません。
各殺菌消毒成分の対象となる微生物をまとめたのでご参考にしてください。(参考:厚生労働省試験問題作成の手引き)
オキシドールについては、令和4年4月の手引き改定で、結核菌などの部分が削除になりました。令和3年以前の過去問を解く際はご注意ください。
②テトラヒドロゾリン塩酸塩は、鼻粘膜を通っている血管を拡張させる作用を示すため、鼻粘膜症状の緩和を目的として配合されている場合がある。
こちらは誤です。
正しくは
鼻粘膜を通っている血管を収縮させる作用を示す
です。
点鼻薬のアドレナリン作動成分のメカニズムを問う問題です。
例題にある「鼻粘膜を通っている血管を拡張させる」→鼻が詰まるということです。
この部分は細かい部分ですが、逆の作用になってしまうので、アドレナリン作動成分が出題されたときは、まず疑うポイントです。
鼻に用いる薬で出題されるアドレナリン作動成分は以下の通りです。成分の名前を見たらアドレナリン作動成分であるとわかるようにしておきましょう!
・ナファゾリン塩酸塩
・フェニレフリン塩酸塩
・テトラヒドロゾリン塩酸塩等
③クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性ではない鼻炎や副鼻腔炎に対して有効である。
こちらは誤です。
正しくは
アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては無効である
です。
クロモグリク酸ナトリウムは抗アレルギー成分に分類されます。抗ヒスタミン成分と勘違いすることがありますが、試験では抗ヒスタミン成分とひっかけてくるので、違いを理解する必要があります。
抗ヒスタミン成分:
ヒスタミンがヒスタミンの受容体にくっつくのを防いで、ヒスタミンの働きを抑える。
抗アレルギー成分(クロモグリク酸ナトリウム):
肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、花粉、ハウスダスト(室内塵)等による鼻アレルギー症状の緩和する。
簡潔にまとめると、抗ヒスタミン成分は受容体をブロック、抗アレルギー成分は、ヒスタミンの遊離を抑えると覚えましょう!
④減感作療法によるアレルギーの治療を受けている人がクロモグリク酸ナトリウムを使用すると、相互作用により減感作療法の治療効果が上がる。
こちらは誤です。
正しくは
減感作療法によるアレルギーの治療を受けている人では、治療の妨げとなるおそれがある
です。
減感作療法について復習です。(内服アレルギー用薬でも出題されることがあります)
減感作療法:
アレルゲンを厳密に特定したうえで、アレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく治療法。
減感作療法では、スギ花粉に対してアレルギーのある人に、スギ花粉をごく少量投与するということを行います。アレルギーの原因を体に入れるので、重篤なアレルギーが起きてしまうこともあります。そのため、専門医のもとで行われる治療方法です。減感作療法を行っている人に、安易に一般用医薬品を販売すると、治療の妨げとなることがあるので勧められません。
⑤鼻粘膜が腫れてポリープ(鼻茸)となっている場合には、いち早く一般用医薬品により対処を図ることが適当である。
こちらは誤です。
正しくは
一般用医薬品により対処を図ることは適当でなく、医療機関における治療(ステロイド性抗炎症成分を含む点鼻薬の処方等)が必要となる
です。
こちらは点鼻薬の受診勧奨に関する問題です。
実際にポリープができているかを診断するのは医師ですので、店舗で相談を受けたときにわかることはないです。ですが、知識として鼻粘膜にポリープができている場合は、受診勧奨をするというのは覚えておいてください。
点鼻薬で受診勧奨をしなければならない場合をまとめたので、ご活用ください。
点鼻薬の受診勧奨まとめ
①一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬の対応範囲は、急性又はアレルギー性の鼻炎及びそれに伴う副鼻腔炎であり、蓄膿症などの慢性のものは対象となっていない。鼻炎用点鼻薬には、それらの症状を緩和する働きはあるが、その原因そのものを取り除くわけではない。
→3日位使用しても症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続せずに医療機関(耳鼻科)を受診するなどの対応が必要である。
②かぜ症候群等に伴う鼻炎症状の場合、鼻炎が続くことで副鼻腔炎や中耳炎などにつながることもあるため、そのような症状の徴候に対しても注意を促すとともに、中耳炎が発生した場合などは医療機関を受診するよう勧める。
③鼻粘膜が腫れてポリープ(鼻茸)となっている場合には、一般用医薬品により対処を図ることは適当でなく、医療機関における治療(ステロイド性抗炎症成分を含む点鼻薬の処方等)が必要となる。
以上が、「細かい部分を問う問題 鼻に用いる薬」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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