この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は禁煙補助剤について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
動画の方が理解しやすい方は、動画をご覧ください。
①ニコチン置換療法とは、喫煙習慣を継続したまま禁煙補助剤を使用し、その後、徐々に喫煙を減らしていく方法である。
こちらは誤です。
正しくは
ニコチン置換療法とは、ニコチンの摂取方法を喫煙以外に換えて離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにする方法である
です。
ニコチン置換療法に関する問題です。
置換療法という文字通り、ニコチンの摂取方法をタバコから医薬品に切り替えて、徐々に摂取量を減らしていくものです。たばこは完全に断つというのがポイントです。
禁煙外来など、病院で行われる治療では、最初は喫煙しながら行うこともありますが、一般用医薬品のニコチン置換療法では、禁煙した状態で、医薬品を使用します。
次の②と③は関連する問題なので、まとめて解説します。
②咀嚼剤を噛む際は、なるべく多くの唾液が分泌されるように噛む必要がある。
こちらは誤です。
正しくは
咀嚼剤を噛む際は、唾液が多く分泌されるとニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むこととされている
です。
③咀嚼剤を噛むことにより放出されたニコチンは、主に口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する。
こちらは正です。
②と③では剤形とニコチンの特徴を問う問題を抜粋しました。
覚えるポイントを以下にまとめて、ご確認ください。
ニコチンを有効成分とする医薬品の剤形:
・咀嚼剤
・パッチ製剤(1日1回皮膚に貼付することによりニコチンが皮膚を透過して血中に移行する)
特に咀嚼剤のポイントは外せません。
咀嚼剤で覚えるポイント:
①噛むことにより口腔内でニコチンが放出され、口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する。
②菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むこととされている。
③大量に使用しても禁煙達成が早まるものでなく、かえってニコチン過剰摂取による副作用のおそれがあるため、1度に2個以上の使用は避ける。
ポイント①については第2章の剤形の部分でも出題されることがあるので、必ず押さえなければなりません。ニコチンの剤形には内服薬はないという点も押さえておいてください。
ポイント②については、実務でも重要です。菓子のガムのように嚙んでしまうと、口の中が痺れるなどの副作用が起きてしまうので、初めて購入される方には説明することが望ましいです。
④と⑤は相互作用に関する問題です。こちらもまとめて解説します。
④口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が増加するため、口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは咀嚼剤の使用を避けることとされている。
こちらは誤です。
正しくは
口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは咀嚼剤の使用を避けることとされている
です。
⑤インスリン製剤を使用している人は、ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗して、効果を妨げるおそれがあるため、禁煙補助剤を使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬を調剤した薬剤師に相談するなどの対応が必要である。
こちらは正です。
ニコチンとその他の医薬品との相互作用で重要な部分を抜粋しました。
①口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。
②ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮 咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を増強させるおそれがある。
③他のニコチン含有製剤が併用された場合も、同様にニコチンの過剰摂取となるおそれがある。
④心臓疾患(心筋梗塞、狭心症、不整脈)、脳血管障害(脳梗塞 、脳出血時等)、バージャー病(末梢血管障害)、高血圧、甲状腺機能障害、褐色細胞腫、糖尿病(インスリン製剤を使用している人)、 咽頭炎、食道炎、胃・十二指腸潰瘍 、肝臓病又は腎臓病の診断を受けた人では、使用している治療薬の効果に影響を生じたり、症状を悪化させる可能性があるため、禁煙補助剤を使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬を調剤した薬剤師に相談するなどの対応が必要である。
ポイント④については例題でもあるように、
ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗して、インスリン製剤の効果を妨げるおそれがあります。
インスリン製剤というのは注射の糖尿病薬です。インスリンを注射で投与し、血糖値を下げる役割があります。ニコチンを投与すると、②にあるように、交感神経系を興奮させます。肝臓でのグリコーゲン分解が起こり、血糖値が上昇してしまうのです。
その結果、インスリンの血糖値作用をニコチンが打ち消してしまうのです。
以上が、「細かい部分を問う問題 禁煙補助剤」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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