この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は皮膚に用いる薬の
・肌の角質化、かさつき等を改善する配合成分
・抗菌作用を有する配合成分
・抗真菌作用を有する配合成分
・頭皮・毛根に作用する成分
について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
動画の方が理解しやすい方は、動画をご覧ください。
①サリチル酸は、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す。
こちらは誤です。
正しくは
サリチル酸は、角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す
です。
角質軟化成分の詳しい作用を問う問題です。
角質軟化成分は以下の2つがあります。
① サリチル酸
② イオウ
① サリチル酸:
角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す。併せて抗菌、抗真菌、抗炎症作用も期待され、にきび用薬等に配合されている場合もあります。頭皮のふけ(落屑)(らくせつ)を抑える効果を期待して、毛髪用薬に配合されている場合もあります。
② イオウ:
皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示します。併せて抗菌、抗真菌作用も期待され、にきび用薬等に配合されている場合もあります。
例題の「ケラチンを変質」というのはイオウの作用なので、ひっかからないように注意が必要です。
②ウイルスが原因であるいぼに用いる角質軟化薬は医薬品としてのみ認められており、いぼが広範囲にわたって生じたり、外陰部や肛門周囲に生じた場合に使用できる。
こちらは誤です。
正しくは
いぼに用いる製品は医薬品としてのみ認められているが、いぼの原因となるウイルスに対する抑制作用はなく、いぼが広範囲にわたって生じたり、外陰部や肛門周囲に生じたような場合には、医師の診療を受けるなどの対応が必要である
です。
例題はうおのめ、たこ、いぼの区別と受診勧奨の部分が混ざった問題です。
うおのめ、たこ、いぼの違いを理解しておきましょう。
うおのめ(鶏眼)、たこ(胼胝)(べんち)は皮膚の一部に機械的刺激や圧迫が繰り返し加わったことにより、角質層が部分的に厚くなったものです。うおのめとたこの違いは以下の通りです。
●うおのめ
➤角質の芯が真皮にくい込んでいるため、圧迫されると痛みを感じます。
●たこ
➤角質層の一部が単純に肥厚したもので芯がなく、通常、痛みは伴いません。
一方、いぼは原因が異なります。
●いぼ(疣贅)(ゆうぜい)
➤表皮が隆起した小型の良性の腫瘍で、ウイルス性のいぼと老人性のいぼに大別されます。足の裏にできた場合、たこと間違えられやすいです。ウイルス性のいぼは1~2年で自然寛解することが多いです。
③ホモスルファミンは、細菌のDNA合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
こちらは正です。
抗菌成分の作用を問う問題です。
ホモスルファミンはサルファ剤に分類されます。サルファ剤については眼科用薬で覚えるポイントを解説していますので、そちらも併せてご確認ください。
皮膚に用いる薬では4種類の抗菌成分が出題されます。
① サルファ剤
② バシトラシン
③ フラジオマイシン硫酸塩、クロラムフェニコール
それぞれの作用が出題されるので覚える必要があります。
① サルファ剤:
スルファジアジン、ホモスルファミン、スルフイソキサゾール等のサルファ剤は、細菌のDNA合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
② バシトラシン:
細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
③ フラジオマイシン硫酸塩、クロラムフェニコール:
いずれも細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
④モクキンピ(アオイ科のムクゲの幹皮を基原とする生薬)のエキスは、皮膚糸状菌の増殖を抑える作用を期待して用いられる。
こちらは正です。
抗真菌薬に関する問題です。
抗真菌薬はいくつもありますが、生薬の成分が出題されることもあるので、確認する必要があります。
生薬以外の成分は以下にまとめていますので、ご確認ください。
① イミダゾール系抗真菌成分:
オキシコナゾール硝酸塩、ネチコナ ゾール塩酸塩、ビホナゾール、スルコナゾール硝酸塩、エコナゾール硝酸塩、クロトリマゾール、ミコナゾール硝酸塩、チオコナゾール等は、
皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑えます。
② アモロルフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩:
皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることにより、その増殖を抑えます。
③ シクロピロクスオラミン:
皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。
④ ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛:
患部を酸性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑えます。
⑤ ピロールニトリン:
菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑える。
単独での抗真菌作用は弱いため、他の抗真菌成分と組み合わせて配合される。
⑥ その他:
抗真菌成分としてトルナフタート、エキサラミドが配合されている場合がある。
⑤カルプロニウム塩化物は、末梢組織(適用局所)において抗コリン作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。
こちらは誤です。
正しくは
抗コリン作用ではなく、コリン作用である
です。
コリン作用という言葉は稀なので、ひっかからないように気をつけましょう。登録販売者試験では抗コリン作用という言葉は何回も出てきますが、コリン作用という言葉はほとんど出てこないので、カルプロニウムで抗コリン作用ときたらすぐに「誤」と判断しましょう!
以上が、「細かい部分を問う問題 皮膚に用いる薬②」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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