登録販売者試験の第3章で出題される殺菌消毒成分ですが、
・どの微生物に効くのか
・どの微生物には効かないのか
・成分名
・注意事項
と覚えることが多いです。さらに殺菌消毒成分は複数の範囲にまたがってテキストに載っているため、それぞれの範囲ごとにテキストを見るのは大変ではありませんか?そんなわけでまとめました。
殺菌消毒薬をマスターしましょう!
目次
1.殺菌消毒成分が出題される範囲
2.成分名と微生物(手指・皮膚などの消毒)
3.成分名と微生物(専ら器具、設備等の殺菌・消毒に用いられる成分)
殺菌消毒成分が出題される範囲
殺菌消毒成分が出題される範囲は以下の通りです。
・咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
・口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)
・痔の薬
・鼻に用いる薬
・眼科用薬(添加物)→ベンザルコニウム塩化物、パラオキシ安息香酸ナトリウム等
・皮膚に用いる薬
・歯痛・歯槽膿漏薬
・口内炎用薬
・公衆衛生用薬
このように多くの範囲で出題されるため、避けては通れないです。
眼科用薬では防腐剤(添加物)というかなり細かい部分で出題されることがあります。
コンタクトレンズと防腐剤
通常、ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤(ベンザルコニウム塩化物、パラオキシ安息香酸ナトリウム等)などの配合成分がレンズに吸着されて、角膜に障害を引き起こす原因となるおそれがあるため、装着したままの点眼は避けることとされている製品が多い。
成分名と微生物(手指・皮膚などの消毒)
よく出題される成分は表にまとめましたので、ご確認ください。
クレゾール石ケン液と同様な殺菌消毒作用を有する成分として、ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が用いられることもある。
表に載せていない殺菌消毒成分
表に載せていない成分は細かい部分が聞かれることが少ないです。ただし、成分名を見たときに、殺菌消毒成分であると認識できるようにしましょう。
・セトリミド
・チモール
・デカリニウム塩化物
・イソプロピルメチルフェノール
・フェノール(液状フェノール)
・レゾルシン(角質層を軟化させる作用もあり、にきび用薬やみずむし・たむし用薬などに配合されている場合がある)
・歯科用フェノールカンフル
・オイゲノール
殺菌消毒成分の注意事項
ここでは主に「皮膚に用いる薬」と「公衆衛生用薬」で出題される殺菌消毒成分の注意事項を見ていきます。
・アクリノール
比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくい。衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなることがある。
・オキシドール(過酸化水素水)
オキシドールの作用は、過酸化水素の分解に伴って発生する活性酸素による酸化、及び発生する酸素による泡立ちによる物理的な洗浄効果であるため、作用の持続性は乏しく、また、組織への浸透性も低い。刺激性があるため、目の周りへの使用は避ける必要がある。
・ヨウ素系殺菌消毒成分
ヨウ素の殺菌力はアルカリ性になると低下するため、石けん等と併用する場合には、石けん分をよく洗い落としてから使用するべきである。外用薬として用いた場合でも、まれにショック(アナフィラキシー)のような全身性の重篤な副作用を生じることがある。ヨウ素に対するアレルギーの既往がある人では、使用を避ける必要がある。
ヨウ素系殺菌消毒成分は主に次の①と②が出題されます。
① ポビドンヨード
ヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)と呼ばれる担体に結合させて水溶性とし、徐々にヨウ素が遊離して殺菌作用を示すように工夫されたもの。口腔咽喉薬や含嗽薬として用いられる場合より高濃度で配合されているため、誤って原液を口腔粘膜に適用しないよう注意する必要がある。
② ヨードチンキ
ヨウ素及びヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたもので、皮膚刺激性が強く、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。また、化膿している部位では、 かえって症状を悪化させるおそれがある。
・ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、セチルピリジニウム塩化物
いずれも石けんとの混合によって殺菌消毒効果が低下するので、石けんで洗浄した後に使用する場合には、石けんを十分に洗い流す必要がある。
・クロルヘキシジングルコン酸塩
クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬については、口腔内に傷やひどいただれのある人では、強い刺激を生じるおそれがあるため、使用を避ける必要がある。
・エタノール(消毒用エタノール)
皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされている。
脱脂による肌荒れを起こしやすく、皮膚へ繰り返して使用する場合には適さない。粘膜刺激性があり、粘膜面や目の回り、傷がある部分への使用は避けることとされている。揮発性で引火しやすく、また、広範囲に長時間使用する場合には、蒸気の吸引にも留意する必要がある。
・クレゾール石ケン液
日本薬局方に収載されているクレゾール石ケン液は、原液を水で希釈して用いられるが、刺激性が強いため、原液が直接皮膚に付着しないようにする必要がある。付着した場合には直ちに石けん水と水で洗い流し、炎症等を生じたときには医師の診療を受けるなどの対応が必要である。
成分名と微生物(専ら器具、設備等の殺菌・消毒に用いられる成分)
器具、設備に使用される殺菌消毒成分は2種類覚えましょう。
① 塩素系殺菌消毒成分
・次亜塩素酸ナトリウム
・サラシ粉など
塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられない。
塩素系の殺菌消毒成分は注意事項が多いので、頭に入れましょう。店舗で働く際に聞かれることもあります。
注意事項:
・金属腐食性があるとともに、プラスチックやゴム製品を劣化させる。
・漂白作用があり、毛、絹、ナイロン、アセテート、ポリウレタン、色・柄物等には使用を避ける必要がある。
・酸性の洗剤・洗浄剤と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、混ざらないように注意する必要がある。
・吐瀉物や血液等が床等にこぼれたときの殺菌消毒にも適しているが、有機物の影響を受けやすいので、殺菌消毒の対象物を洗浄した後に使用した方が効果的である。
② 有機塩素系殺菌消毒成分
・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
・トリクロロイソシアヌル酸など
有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられ ることが多い。
以上が、第3章の殺菌消毒成分まとめ。過去問を何度も解いて、頭に入れて試験に臨みましょう!
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労
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