この記事では、登録販売者試験でよく出題される「可逆」と「非可逆」の違いを詳しく説明していきます。出題範囲としては、主に第2章と第3章でひっかけ問題として出題されることがあります。
この2つの用語はわかりづらいので、苦手としている人も多いのではないでしょうか?できるだけ、難しい言葉を使わずに説明していきますので、勉強にご活用ください。
ひと言で説明すると、
可逆:元に戻れる
不可逆:元にもどれない
と覚えてください。これだけでほぼ理解できたも同然です。
ここからは、章ごとに出題ポイントを押さえながら説明していきます。
第2章の出題範囲
第2章では「薬が働く仕組み」と「症状からみた主な副作用」の範囲で出題されることがあります。
薬が働く仕組み
以下のような問題が出ることがあります。
正?誤?
血漿タンパク質との結合は速やかかつ可逆的で、一つ一つの分子はそれぞれ結合と解離を繰り返している。
答えは正です。
血液中にいる医薬品の有効成分は、血漿(しょう)タンパク質とくっついたり離れたりを繰り返しています。
ひっかけ問題では「可逆」の部分を「不可逆」に替えて出題されることがあります。不可逆としてしまうと、一度くっついたら離れないということになってしまいます。
そうすると、そもそも問題文の「結合と解離を繰り返している」というのと矛盾が生じてしまうので誤になります。
このように、用語の意味がわかってしまえば、簡単に解けてしまいます。
また、もし医薬品の成分と血漿タンパク質の結合が「不可逆」の結合なら、ずっと体内に医薬品の成分がとどまり続けることになってしまうので、おかしいとなります。
症状からみた主な副作用
副作用のうち、「肝機能障害」と「眼圧上昇」で出題されることがあります。
正?誤?
肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要である。漫然と原因と考えられる医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもある。
答えは正です。
正?誤?
高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがあり、速やかに眼科専門医の診療を受ける必要がある。
答えは正です。
肝機能障害も高眼圧による視覚障害(視野欠損や失明)は一度なってしまうと元に戻らないということです。そのため、医薬品の副作用で生じた場合は、早期の対処が重要になります。
第3章の出題範囲
第3章では「局所麻酔成分の説明」と「殺虫剤」の範囲で出題されることがあります。
局所麻酔成分の説明
正?誤?
局所麻酔成分は、皮膚や粘膜などの局所に適用されると、その周辺の知覚神経に作用して刺激の神経伝導を可逆的に遮断する作用を示す。
答えは正です。
ここでも「可逆」「不可逆」を入れ替えて出題されることがあります。
もしも、局所麻酔成分が「不可逆」に刺激の神経伝導を遮断してしまったら、一生痛みを感じなくなってしまいます。そんな薬、怖すぎますね。
局所麻酔成分としては、
●アミノ安息香酸エチル
●オキセサゼイン
●リドカイン、リドカイン塩酸塩
●ジブカイン塩酸塩
●プロカイン塩酸塩
●テシットデシチン
●テーカイン等。
があります。作用のメカニズムと一緒に局所麻酔成分を覚えると効率的です。
有機リン系殺虫成分
この範囲では、
●有機リン系殺虫成分
と
●カーバメイト系殺虫成分、オキサジアゾール系殺虫成分
の作用のメカニズムの違いを問う問題が出題されることがあります。
どちらも、アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と結合してその働きを阻害することで作用を発揮しますが、結合の仕方に違いがあります。
有機リン系殺虫成分は不可逆的に結合します。→一度くっついたら離れない。
カーバメイト系殺虫成分、オキサジアゾール系殺虫成分は可逆的に結合します。→くっついたり離れたりできる。
有機リン系殺虫成分:
ジクロルボス、ダイアジノン、フェニトロチオン、フェンチオン、トリクロルホン、クロルピリホスメチル、プロペタンホス等。
カーバメイト系殺虫成分:プロポクスル
オキサジアゾール系殺虫成分:メトキサジアゾン
以上が可逆と不可逆の用語説明でした。登録販売者試験では、日常生活では使わない用語が多く出題されます。用語の意味をあいまいにしておくと、試験で痛い目に合うことがあるので、試験本番までに必ず、確認してください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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