この記事では、消化酵素と消化成分の2つ目の記事です。
こちらでは主に第3章で出題される消化成分を解説します。
第2章で出題される消化酵素について確認したい方はこちらをご覧ください。
以下の順で説明していきます。
・消化成分の配合目的
・各有効成分の役割
・胃の薬の服用方法
消化成分の配合目的
第3章の胃腸に作用する薬の範囲では、有効成分の配合目的が問われるので、それぞれの違いを理解しておくことが大事です。
・制酸薬は、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とする医薬品である。その配合成分としては、胃酸の働きを弱めるもの、胃液の分泌を抑えるものなどが用いられる。
・健胃薬は、弱った胃の働きを高めること(健胃)を目的とする医薬品である。配合される生薬成分は独特の味や香りを有し、唾液や胃液の分泌を促して胃の働きを活発にする作用があるとされる。
・消化薬は、炭水化物、脂質、タンパク質等の分解に働く酵素を補う等により、胃や腸の内容物の消化を助けることを目的とする医薬品である。
これらのほか一般用医薬品には、様々な胃腸の症状に幅広く対応できるよう、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙、消泡等、それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせた製品(いわゆる総合胃腸薬)もある。制酸と健胃のように相反する作用を期待するものが配合されている場合もあるが、胃腸の状態によりそれら成分に対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。しかし、消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合は、効果的に症状の改善を図るため、症状に合った成分のみが配合された製品が選択されることが望ましい。
各有効成分の役割
第3章で出題される消化成分とその役割は以下の通りです。
・ジアスターゼ:炭水化物の分解
・プロザイム、ニューラーゼ:タンパク質の分解
・リパーゼ:脂質(中性脂肪)
・セルラーゼ:繊維質等の分解
・ビオジアスターゼ、タカヂアスターゼ:炭水化物とタンパク質の分解
・胆汁末や動物胆(ユウタンを含む)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸:
胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待
第2章の消化酵素の名前とは違うのもばかりですね。共通しているのはリパーゼだけです。
第3章では、それぞれの有効成分の役割は問われませんが、成分の名前を見たときに、消化成分であることは覚えておくことが必要です。
また、有効成分の注意事項も併せて確認しておきましょう!
胆汁末や動物胆(ユウタンを含む。)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人ではかえって症状を悪化させるおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。
胃の薬の服用方法
胃の薬の服用方法は令和4年の試験問題の手引きで追加されました。令和4年の試験ではあまり出題されませんでしたが、令和5年以降に受験する方は、確認しておいた方がよい部分です。
・消化を助け、胃もたれを改善し、胃をすっきりさせる効果を主とする製剤:
食後服用のものが多い。
・空腹時や就寝時の胸やけ、ストレスによる胃酸の出すぎなどを抑える効果を主とする製剤:
食間や就寝前の服用のものが多い。
・どちらの効果も有する製剤:
食後又は食間の服用指示のものが多い。
症状により製剤を選択する場合は、その症状のひどい時間を確認し、製剤の服用方法も参考にして選択すると良い。医療機関で処方された医療用医薬品を服用している場合は、副作用による胃の不快感を防止するために胃の薬も処方されている場合もあるので、販売時には胃の薬が処方されていないか必ず確認する必要がある。
以上が「消化酵素と消化成分2」の解説でした。「消化酵素と消化成分」の解説はここまでです。第2章ではそれぞれの消化酵素の特徴を取り上げ、第3章では医薬品の消化成分の特徴を解説しました。章をまたいで理解することで、全体像の把握ができ、効率よく勉強できます。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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