この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は内服アレルギー用薬について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
動画の方が理解しやすい方は、動画をご覧ください。
①ジフェンヒドラミン塩酸塩は、吸収されたジフェンヒドラミンの一部が乳汁に移行して乳児に昏睡を生じるおそれがある。
こちらは正です。
抗ヒスタミン成分と授乳中の関係を問う問題です。
抗ヒスタミン成分は多くありますが、授乳中の人が「使用してはいけない」ことになっているのは、ジフェンヒドラミン塩酸塩のみです。(第5章のしてはいけないことを参照)
この例題に類似した問題は、第5章でも出題される可能性があるので、他の抗ヒスタミン成分とは分けて覚えておく必要があります。
②一般用医薬品のアレルギー用薬には、アトピー性皮膚炎による慢性湿疹の治療に用いることを目的とするものがある。
こちらは誤です。
正しくは
一般用医薬品のアレルギー用薬には、アトピー性皮膚炎による慢性湿疹の治療に用いることを目的とするものはないことから、アトピー性皮膚炎が疑われる場合やその診断が確定している場合は、医師の受診を勧めることが重要である
です。
一般用医薬品のアレルギー用薬は、花粉症などはもちろんのこと皮膚のかゆみにも使用できます。
ただし、アトピー性皮膚炎による慢性湿疹には使用できないので注意が必要です。
皮膚のかゆみで使う場合に代表的なのは、蚊に刺されたかゆみや蕁麻疹などです。
アトピー性皮膚炎で治療をしている場合、一般用医薬品では販売されていない強いランクのステロイドを使っていることもあります。安易に一般用医薬品を使用してしまうと、症状が治まらないだけでなく、悪化させてしまうこともあります。
③皮膚症状が治まると喘息が現れるというように、種々のアレルギー症状が連鎖的に現れることがある。
こちらは正です。
アレルギー症状の特徴を問う問題です。
②と同じように、この範囲では受診勧奨の部分で、細かい部分が出題される可能性があります。
受診勧奨で押さえておく部分をまとめたので、ご参考にしてください。
①一般用医薬品のアレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む。)は、一時的な症状の緩和に用いられるものであり、長期の連用は避け、5~6日間使用しても症状の改善がみられない場合には、医師の診療を受けるなどの対応が必要である。
②アレルゲンを厳密に特定するには医療機関における検査を必要とし、その上で、アレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく治療法(減感作療法)等もある。スギ花粉に対するアレルギーに対して減感作療法が行われている。
③皮膚症状が治まると喘息が現れるというように、種々のアレルギー症状が連鎖的に現れることがある。このような場合、一般用医薬品によって一時的な対処を図るよりも、医療機関で総合的な診 療を受けた方がよい。
④一般用医薬品(漢方処方製剤を含む。)には、アトピー性皮膚炎による慢性湿疹等の治療に用いることを目的とするものはないことから、アトピー性皮膚炎が疑われる場合やその診断が確定している場合は、医師の受診を勧めることが重要である。
⑤皮膚感染症(たむし、疥癬等)により、湿疹やかぶれ等に似た症状が現れることがある。その場合、アレルギー用薬によって一時的に痒み等の緩和を図ることは適当でなく、皮膚感染症そのものに対する対処を優先する必要がある。
※疥癬(かいせん):ヒゼンダニというダニの一種が皮膚に感染することによって起こる皮膚疾患で、激しい痒みを伴う皮疹を生じる。
⑥アレルギー用薬の場合、一般の生活者では、使用目的となる症状(蕁麻疹等)と副作用の症状(皮膚の発疹・発赤等の薬疹)が見分けにくいことがあり、医薬品の販売等に従事する専門家において適宜注意を促していくことが重要である。
⑦鼻炎症状はかぜの随伴症状として現れることも多いが、高熱を伴っている場合には、かぜ以外のウイルス感染症やその他の重大な病気である可能性があり、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
④肥満細胞から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定のタンパク質(受容体)と反応することで、血管収縮、血管透過性低下等の作用を示す。
こちらは誤です。
正しくは
肥満細胞から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定のタンパク質(受容体)と反応することで、血管拡張、血管透過性亢進等の作用を示す
です。
ヒスタミンが受容体に反応するということは、つまり、アレルギー症状が起きるということです。鼻が詰まったりしますね。
血管拡張について解説
鼻が詰まる→鼻粘膜の血管が拡張することで、鼻腔が狭くなり、鼻の通りが悪くなるということ。
血管透過性について解説
血管透過性亢進については、かなり難しいので、血管透過性亢進が起きるとどうなるのかだけ理解していれば大丈夫です。
血管透過性亢進が起きると、むくみが起きます。鼻粘膜がむくむということは、鼻が詰まるということです。
⑤プソイドエフェドリン塩酸塩は、他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがある。
こちらは正です。
こちらはプソイドエフェドリン塩酸塩の特徴を問う問題です。
主に鼻づまりを改善するためにアドレナリン作動成分が配合されています。
アドレナリン作動成分には以下があります。
・プソイドエフェドリン塩酸塩
・フェニレフリン塩酸塩
・メチルエフェドリン塩酸塩等
プソイドエフェドリン塩酸塩については、他のアドレナリン作動成分と異なる部分があるので、別で覚える必要があります。押さえておく部分をまとめました。
①他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがある。
②交感神経系に対する刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等への影響も生じやすく、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難 の症状がある人では、症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要がある。
③パーキンソン病の治療のため医療機関でセレギリン塩酸塩等のモノアミン酸化酵素阻害剤が処方されて治療を受けている人が、プソイドエフェドリン塩酸塩が配合された鼻炎用内服薬を使用した場合、体内でのプソイドエフェドリンの代謝が妨げられて、副作用が現れやすくなるおそれが高く、使用を避ける必要がある。
以上が、「細かい部分を問う問題 内服アレルギー用薬」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
コメント