第2章 薬の生体内運命

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第2章

この記事では第2章 薬の生体内運命の範囲をマスターするポイントについて詳しく解説していきます。この範囲が苦手な方、勉強しても同じ部分で間違えてしまう方は、ぜひご活用ください。

この範囲で、出題される問題例

●全身作用を目的とする医薬品では、その有効成分が消化管等から吸収されて、循環血液中に移行することが不可欠である。→正

●肝初回通過効果とは、全身循環に移行する医薬品の有効成分の量が、消化管で吸収された量よりも、肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなることをいう。→正

●有効成分が代謝を受けると、作用を失ったり、作用が現れたり、あるいは体外へ排泄されやすい脂溶性の物質に変化したりする。→誤

●消化管で吸収された有効成分は、まず膵臓に存在する酵素の働きにより代謝を受けることになる。→誤

●循環血液中に存在する有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。→正

「薬の生体内運命」の範囲は問題のパターンが、第3章に比べて少ないので、過去問を多く解くことで、満点を取れるようになります。ただし、よくよく考えてみると、この範囲は奥が深いです。

勉強している方で、表面上の暗記をするのが苦手で、理由を知りたい人にとってはとっつきにくい範囲です。

なぜ表面上のことしかテキストに書いてないの?

とっつきにくい範囲なら、テキストに詳しく書いてくれればよいのにと思った方もいるかもしれません。でも実際には書かれていない・・・

その理由は、

もともとの概念がとても難しいので、詳しく書いてしまうと余計わかりにくくなってしまうからだと私は考えています。

第2章のこの範囲は実はとても難しい範囲なのです。大学の薬学部で言うと3年生くらいで勉強する範囲です。基礎知識がしっかり備わっていないと理解するのが難しいです。

とはいっても、詳しく知りたい人もいると思いますので、できるだけ簡単に説明をしていきます。

錠剤を飲んだ時の体内の動きを理解しよう!

薬の生体内運命の範囲かみ砕くと、以下のようになります。

「錠剤を飲んだ時に、体内に吸収されて、その後、体外に出ていくまでの流れ」

これを説明できればこの範囲をしっかり理解したことになります。

文章では少しややこしいので、動画の方がわかりやすければ動画ご覧ください。19分38秒から説明しています。

ここからは
●吸収
●分布
●代謝
●排泄
の順で見ていきましょう!

吸収

錠剤を口から飲むと下の図の①から⑤のような流れで体内に吸収されていきます。

ここでは門脈が血管であることが忘れやすいので、覚えておいてください。(門脈ってなんだっけってたまになります)

ではこの後はどうなるのでしょうか?薬が作用を発揮するのは、体の各部位に届かなくてはなりません。

分布

この次の流れは下の図のようになります。

消化管から肝臓に来た後は、血液にのって、心臓→肺→心臓という経路をたどり、左心室から全身に送られます。ここで心臓→肺→心臓となるのは、肺でガス交換を行い、酸素の多い血液にするためです。

せっかくなので、心臓の構造も一緒に覚えてください。

心臓から全身に向かって血液が送り出され、その血液にのって薬も体の各部位に運ばれていきます。

ここまでで、薬が必要な部位に届き、作用を発揮します。口から薬を飲むと効いてくるまでに時間がかかるのは、こういった行程を経るからです。

次は代謝と排泄です。どんなふうに体外に排泄されていくのでしょうか?

代謝・排泄

ここで登録販売者試験の試験問題の手引きを見てみましょう。

先に排泄の説明をしますと、排泄は主に図の①から③のどれかで行われます。

②の肝臓から胆汁中へというのは、簡単に言うと便として排泄されるということです。

では代謝についてです。ここが特にわかりづらいです。

代謝は主に肝臓で行われます。肝臓の代謝酵素の働きによって、有効成分が代謝を受けると、作用を失ったり、作用が現れたり、あるいは体外へ排泄されやすい水溶性の物質に変化したりします。

代謝を受けたものを代謝物と呼びます。

では図に出ている、未変化体とはなんでしょうか?

未変化体とは代謝を受けていないものということ

医薬品の成分が肝臓を通過しても、1度に全てが代謝を受けるわけではありません。
その理由は、
・そもそも代謝酵素で代謝されない構造を持っている
・代謝酵素に限りがあるので、1度に全部を代謝できない
等です。

消化管から門脈を通って肝臓に到達しても、代謝を受けずに心臓に向かい、肺から戻ってきた後に全身に向かいます。全身に向かう際は、その成分がどこに行くかはランダムです。

心臓から腎臓に向かい、そのまま尿として排泄されるというのもあります。この場合、薬は代謝を受けていない状態で排泄されることになるので、「未変化体」という形で排泄されます。

「未変化体」という言葉はとても分かりにくい言葉だと思います。

ここまでで「錠剤を飲んだ時に、体内に吸収されて、その後、体外に出ていくまでの流れ」を説明してきました。文章でわかりににくい部分でもあるので、動画もぜひご活用ください。

参考:登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)

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