この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は循環器系の血液について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
①血液は、血漿と血球からなり、血漿は、血液全体の約90%を占める。
こちらは誤です。
正しくは
血漿は、90%以上が水分からなる
です。
血液の組成に関する問題です。
90%という数字は合っていますが、「血液全体の」ではありません。ちなみに血漿が血液全体の何%を占めるかという説明は試験問題の手引きに載っていません。調べればわかりますが、数字が多くなると覚え間違いをすることもあるので、ここでは
血漿は、90%以上が水分からなる
というのを覚えておきましょう。
②血漿中のアルブミンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担う。
こちらは誤です。
アルブミンではなく、グロブリンの記述です。
抗体ときたら「グロブリン」と覚えておきましょう。アルブミンとグロブミンは言葉が似ていますが、全く別物なので、次の問題を参考にそれぞれの違いを理解しましょう。
③アルブミンは、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けやすくする。
こちらは誤です。
正しくは
アルブミンは、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする
です。
手引きには詳しい部分まで書かれていませんが、これだとわかりにくいため、もう少し詳しい説明をします。
複合体を形成すると代謝や排泄を受けにくくなる理由
「代謝」は主に肝臓で行われます。代謝されるときは、代謝酵素というのが関係しますが、医薬品とアルブミンが複合体を形成していると、代謝酵素が働けないです。
「排泄」は主に腎臓で行われます。腎臓で排泄する際にはサイズが影響します。医薬品とアルブミンが複合体を形成していると、サイズが大きくなり、腎臓の糸球体でろ過されません。ろ過されないということは、排泄されないということになります。
例題で扱った部分以外の重要箇所をまとめましたので、ご確認ください。
・90%以上が水分からなり、アルブミン、グロブリン等のタンパク質のほか、微量の脂質、糖質、電解質を含む。
・アルブミンは、血液の浸透圧を保持する(血漿成分が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。
・グロブリンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担うため、そういったものは免疫グロブリンとも呼ばれる。
・脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中のタンパク質と結合してリポタンパク質を形成し、血漿中に分散している。
・血液の粘稠性(ねんちゅうせい)は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない。
④好中球は、白血球の約5%と少ないが、白血球の中で最も大きく、強い食作用を持つ。
こちらは誤です。
好中球ではなく、単球の記述です。
好中球は最も数が多く、白血球の約60%を占めていて、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。
白血球の種類を問う問題です。
白血球の種類は細かいですが、必ず押さえる部分です。
好中球:
最も数が多く、白血球の約60%を占めている。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。
リンパ球:
白血球の約1/3を占め、血液のほかリンパ液にも分布して循環している。リンパ節、脾臓等のリンパ組織で増殖し、細菌、ウイルス等の異物を認識したり(T細胞リンパ球)、それらに対する抗体(免疫グロブリン)を産生する(B細胞リンパ球)。
単球:
白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。
その他:
これらのほか、アレルギーに関与する白血球もある。
これら種々の白血球が協働して、生体の免疫機能が発揮される。感染や炎症などが起きると全体の数が増加するとともに、種類ごとの割合も変化する。
⑤血管の損傷部位では、血小板から放出される酵素によって血液を凝固させる一連の反応が起こり、血漿タンパク質の一種であるフィブリンが傷口で重合して線維状のフィブリノゲンとなる。
こちらは誤です。
フィブリンとフィブリノゲンが逆。
血漿タンパク質の一種であるフィブリノゲンが傷口で重合して線維状のフィブリンとなる。
血小板に関する問題です。
フィブリンとフィブリノゲンは頻繁にひっかけてくるので、理解しておきましょう。
「〇〇ノゲン」というのは、消化酵素の部分で出てくるペプシノーゲン等と同じく、前駆体という意味です。前駆体というややこしいので、活性化される前と覚えると良いです。
つまり、活性化される前のフィブリノゲンが傷口に集まって、フィブリンになるということです。
この内容を理解しておけば、フィブリノゲンとフィブリンの入れ替えに対応できます。
問題で扱った部分以外で、重要な箇所をまとめましたので、ご確認ください。
血小板:
・生体には損傷した血管からの血液の流出を抑える仕組みが備わっており、血小板がその仕組みにおいて重要な役割を担っている。
・損傷した血管は、血管壁が収縮することで血流を減少させ、大量の血液が流出するのを防ぐ。同時に、損傷部位に血小板が粘着、凝集して傷口を覆う。このとき血小板から放出される酵素によって血液を凝固させる一連の反応が起こり、血漿タンパク質の一種であるフィブリノゲンが傷口で重合して線維状のフィブリンとなる。フィブリン線維に赤血球や血小板などが絡まり合い、血の凝固物(血餅)となって傷口をふさぎ、止血がなされる。
以上が、「細かい部分を問う問題 循環器系ー血液」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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