この記事では登録販売者試験で出題される、細かい部分の知識を問う問題を独自にまとめたものです。
勉強していて理解度は深まってきたものの、いまいち点数が伸びていない、なんてことはないでしょうか?
点数を伸ばすには、細かい部分の理解が必要となります。今回は漢方処方製剤・生薬製剤薬について、細かい部分を問う問題を5つ抜粋しました。
ぜひマスターして、自信をつけてください。
動画の方が理解しやすい方は、動画をご覧ください。
①現代では、一般用医薬品の漢方処方製剤として、処方に基づく生薬混合物の浸出液を濃縮して調製された乾燥エキス製剤を散剤等に加工したもののみが、市販されている。
こちらは誤です。
正しくは
軟エキス剤、伝統的な煎剤用の刻み生薬の混合物、処方に基づいて調整された丸剤等も存在する
です。
漢方処方製剤の剤形を問う問題です。
一般用医薬品の漢方薬を飲んだことがある人はご存じかもしれませんが、葛根湯などの袋の中には写真のような粉が入っています。
粉の漢方薬は多くが乾燥エキス製剤というものです。
エキス製剤の作り方:
①漢方の葉や根っこなどをお湯等で煮出し、成分を抽出します。
②水分を蒸発させて、医薬品として使う成分のみ残します。
水分を蒸発させた後に残った、粉が乾燥エキス製剤です。多くの漢方処方製剤はこの形で販売されています。
ただし、乾燥エキス製剤以外にも、軟エキス剤、伝統的な煎剤用の刻み生薬の混合物、処方に基づいて調整された丸剤等も存在します。軟エキスが何かは細かすぎるので割愛します。乾燥エキス製剤のみどういうものか覚えましょう!
今回の例題は漢方処方製剤でしたが、生薬製剤というものもあります。
生薬製剤とは:
生薬成分を組み合わせて配合された医薬品で、成分・分量から一見、漢方薬的に見えるが、漢方処方製剤のように、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものでなく、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を主に考えて、それらが相加的に配合された、西洋医学的な基調の上に立つものであり、 伝統的な呼称(「○○丸」等)が付されているものもあるが、定まった処方というものはない。
漢方処方製剤と生薬製剤の違いは出題されることがあるので、区別して頭に入れましょう。
②と③は関連するので、③の後に解説を記載します。
②防風通聖散は、体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、下痢がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ、肥満症等に適すとされている。
こちらは誤です。
正しくは
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎、湿疹・皮膚炎、ふきでもの (にきび)、肥満症に適す。
です。
③構成生薬として防已黄耆湯と防風通聖散にはカンゾウが含まれ、防風通聖散と大柴胡湯にはマオウが含まれている。
こちらは誤です。
正しくは
防己黄耆湯と防風通聖散にはカンゾウが含まれ、防風通聖散にはマオウが含まれているが、大柴胡湯にはマオウは含まれていない
です。
この範囲で出題される漢方薬はどれも重要です。すべて覚える必要があります。
今回は防風通聖散の効能効果を確認します。
防風通聖散:
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・ むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび、肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。また、小児に対する適用はない。また、本剤を使用するときには、他の瀉下薬との併用は避けることとされている。
構成生薬としてカンゾウ、マオウ、ダイオウを含む。まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症が起こることが知られている。便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要である。
登録販売者試験で出題される漢方薬のうち、構成生薬としてカンゾウ、マオウ、ダイオウを含むのは防風通聖散のみです。ここは必ず押さえましょう。
例題②についてですが、ダイオウを含むということは便秘薬として使われるということです。そのため、「下痢しがちなものの」というのはおかしいということになります。
④ブシは生のままでは毒性が高いことから、その毒性を減らし有用な作用を保持する処理を施して使用される。
こちらは正です。
ブシについては他にも細かい部分が出題されることがあるので、ポイントをまとめました。ご確認ください。
ブシのポイント:
・キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。
・血液循環が高まることによる利尿作用を示すほか、鎮痛作用を示すが、アスピリン等と異なり、プロスタグランジンを抑えないことから、胃腸障害等の副作用は示さない。
・ブシは生のままでは毒性が高いことから、その毒性を減らし有用な作用を保持する処理を施して使用される。
⑤カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。
こちらは正です。
この範囲で出題される生薬をまとめましたので、ご確認ください。
ブシ | キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したもの | 心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。血液循環が高まることによる利尿作用を示すほか、鎮痛作用を示す。アスピリン等と異なり、プロスタグランジンを抑えないことから、胃腸障害等の副作用は示さない。ブシは生のままでは毒性が高いことから、その毒性を減らし有用な作用を保持する処理を施して使用される。 |
カッコン | マメ科のクズの周皮を除いた根 | 解熱、鎮痙等の作用 |
サイコ | セリ科のミシマサイコの根 | 抗炎症、鎮痛等の作用 |
ボウフウ | セリ科のSaposhnikovia divaricata Schischkin の根及び根茎 | 発汗、解熱、鎮痛、鎮痙等の作用 |
ショウマ | キンポウゲ科のCimicifuga dahurica Maximowicz、Cimicifuga heracleifolia Komarov、Cimicifuga foetida Linné又はサラシナショウマの根茎 | 発汗、解熱、解毒、消炎等の作用 |
ブクリョウ | サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、 通例、外層をほとんど除いたもの | 利尿、健胃、鎮静等の作用 |
レンギョウ | モクセイ科のレンギョウの果実 | 鎮痛、抗菌等の作用 |
サンザシ | バラ科のサンザシ又はオオミサンザシの 偽果をそのまま、又は縦切若しくは横切したもの | 健胃、消化促進等の作用(同属植物であるセイヨウサンザシは、血行促進、強心等の作用を期待して用いられる) |
以上が、「細かい部分を問う問題 漢方処方製剤・生薬製剤」の解説でした。細かい部分を1つずつ覚えていくことで、点数アップや自信につながります。ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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