この記事では、登録販売者試験第2章の「体の局所に現れる副作用」のうち、
泌尿器系に現れる副作用について解説していきます。
登録販売者試験で出題される泌尿器系の副作用は3つあります。それぞれの攻略ポイントをまとめましたので、勉強にご活用ください。
1)腎障害
2)排尿困難、尿閉
3)膀胱炎様症状
1)腎障害
腎障害の症状としては、
・尿量の減少、ほとんど尿が出ない
・逆に一時的に尿が増える
・むくみ(浮腫)、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)等
があります。
これらの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要があります。
腎障害について理解する際には、腎臓の構造も合わせて確認するのが効率的です!腎臓の構造については以下の画像をご参照ください。
腎障害とは、腎臓でどのようなことが起きているのでしょうか?
簡単に説明すると、ボウマン嚢でろ過ができなくなってしまう状態です。
ろ過ができなくなってしまうと、体内にある老廃物や医薬品の成分がいつまでも排泄されずに、体内に残ってしまいます。医薬品が体内に残り続けるということは、副作用を生じるリスクがあります。
また、上に記載した腎障害の症状にある、尿量の減少、ほとんど尿が出ないというのも、腎障害がどういうものかわかっていれば理解しやすく、ひっかけ問題にも対応できます。
登録販売者試験では、腎障害と医薬品に関する問題が第3章や第5章で出題されるので、腎障害と関係のある医薬品の成分を頭に入れることが大事です。
2)排尿困難、尿閉
こちらの副作用もとても重要です。第2章で出題されるのは1問ほどですが、第3章や第5章で医薬品の成分と共に出題されるので、どういう状態かを理解しておく必要があります。
排尿困難、尿閉は文字通り、
・尿が出にくい
・尿が少ししか出ない
・残尿感がある等
の症状のことです。この症状が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになってしまいます。
医薬品の副作用として、起きる場合のメカニズムは以下の通りです。
①副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用
②膀胱の排尿筋の収縮が抑制される
排尿筋については下の図をご参照ください。排尿筋は膀胱の上側にある筋肉です。(平滑筋)
膀胱をスポイトに例えると、スポイトの押す部分が排尿筋です。医薬品の副作用によって、
排尿筋の収縮が抑制される=スポイトの押す部分が緩んで押せなくなる
ということです。このように考えると、尿が出にくくなってしまうのが理解できると思います。
排尿困難や尿閉は、前立腺肥大等の基礎疾患がある人で起こりやすいと言われています。
しかし、前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れることが知られており、男性に限らず女性においても報告されています。
排尿困難や尿閉の症状が現れたときには、原因と考えられる医薬品の使用を中止する必要があります。多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止することにより症状は速やかに改善しますが、医療機関における処置を必要とする場合もあります。
3)膀胱炎様症状
膀胱炎様症状では、
・尿の回数増加(頻尿)
・排尿時の疼痛
・残尿感等
の症状が現れます。
これらの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
膀胱炎様症状が起きたときに、病院に行くのが億劫で、気軽に購入できる漢方薬などで対処を図る方がいます。この対処は、よくありません。病院にかかる場合、抗生物質が処方されることがありますが、一般用医薬品の中に抗生物質が配合されている飲み薬はありません。
もし、接客の時にお客様が膀胱炎様症状あると言ってきた際は、受診勧奨勧奨した方が良いです。
以上が登録販売者試験第2章の泌尿器系に現れる副作用の攻略のポイントでした。この範囲は他の章でも出題されるので、とても重要です。あいまいにしないことが、合格への近道です。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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