この記事では、第2章で出題される消化酵素と、第3章で出題される消化成分を同時に解説します。
章をまたいで勉強することで、効率よく理解できます。
消化酵素の名前はいくつも種類があるのでややこしいですよね。
私も以前覚えるのに苦労しました。この範囲は全体像をつかんでから、1つ1つ覚えていくのが良いです。皆さんの勉強にお役に立てば幸いです。
以下の順で説明していきます。
・第2章で出題される消化酵素まとめ
・各酵素の役割と特徴
・第3章で出題される消化成分まとめ(次の記事で説明します)
第2章で出題される消化酵素まとめ
早速ですが問題です。消化酵素の表を作りましたので、穴埋めしてみてください。
1番左の列には消化酵素がどこで分泌されるかが載っています。
実際に分泌される酵素の名前を答えてください。
答えはこちらです。
いかかでしょうか?このように8種類の消化酵素が出題されます。
表の中のいくつかは「ノーゲン」という単語がついています。「ノーゲン」というのは活性化される前という意味です。分泌されても、そのままでは働くことができず、活性化されて、作用を発揮します。
・ペプシノーゲンは胃酸と反応してペプシンとなる。
・十二指腸で分泌される腸液に含まれる成分の働きによって、膵液中のトリプシノーゲンがトリプシンになる。
これらの消化酵素が消化するのは三大栄養素です。三大栄養素とは、炭水化物、タンパク質、脂質です。それぞれの消化のされた方と、各酵素の特徴を次から見ていきます。
各酵素の役割と特徴
上の問題で扱った消化酵素を3つのブロックに分けて説明していきます。
炭水化物の消化に関わる消化酵素
ここでは、以下の炭水化物の消化に関わる消化酵素を深堀りしていきます。
・プチアリン(唾液アミラーゼともいう)
・マルターゼ
・ラクターゼ
・アミラーゼ(膵液アミラーゼ)
炭水化物は、消化酵素の作用によって単糖類に分解されて吸収されます。
この説明はわかりづらいので、もう少し詳しく説明すると以下のようになります。
食べ物に含まれるデンプンなどの炭水化物は、単糖類がたくさん結合した形をしています。吸収するときは、結合を切断し、1つ1つの単糖類に分解して吸収されるということです。
このときに、結合を切断してくれるのがプチアリンなどの消化酵素です。
各消化酵素の違い
口から入ってきた食物は、小腸で吸収されるまでに、ゆっくりと消化されていきます。
①唾液に含まれるプチアリン(唾液アミラーゼともいう)によって、デンプンが2つセットの形に分解されます。
②小腸でマルターゼ、ラクターゼによって単糖類まで分解されて、吸収されます。
(膵液アミラーゼについては試験問題の手引きに詳細が書かれていないため、ここでは省略しています)
ひと言で炭水化物を消化する消化酵素といっても、働き方が異なり、細かい部分も試験で出題されるので、押さえておきましょう。
タンパク質の消化に関わる消化酵素
ここでは、以下のタンパク質の消化に関わる消化酵素を深堀りしていきます。
・ペプシノーゲン
・トリプシノーゲン
・エレプシン
タンパク質は、消化酵素の作用によってアミノ酸に分解されて吸収されます。
タンパク質というのは、アミノ酸がたくさん結合したものです。炭水化物の時と同じように、アミノ酸どうしの結合が切れて、アミノ酸まで分解されて吸収されていきます。
炭水化物の時と異なるのは、酵素が活性化される必要があることです。
ペプシノーゲンとして分泌された消化酵素は胃酸と反応してペプシンという活性型に変わります。
トリプシノーゲンは十二指腸で分泌される腸液に含まれる成分の働きによって、トリプシンという活性型に変わります。
そして、ペプシン、トリプシンなどがアミノ酸どうしの結合を切断します。エレプシンについては、あまり詳しいことが試験問題の手引きに載っていないので、「タンパク質をアミノ酸まで分解する酵素」とだけ覚えれば大丈夫です。
脂質の消化に関わる消化酵素
脂質は2つに分かれます。それはトリグリセリドとコレステロールです。脂質の分解はとても難しいので、以下の文を覚えてしまうのが手っ取り早いです。
トリグリセリドの消化
脂質 (トリグリセリド)は、消化酵素(リパーゼ)の作用によって分解を受けるが、小腸粘膜の上皮細胞で吸収されると脂質に再形成され、乳状脂粒(リポタンパク質の一種でカイロミクロンとも呼ばれる)となります。
コレステロールの消化
コレステロールの消化には胆汁が関係します。
胆汁に含まれる胆汁酸塩(コール酸、デオキシコール酸等の塩類)は、脂質の消化を容易にし、また、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。胆汁には、古くなった赤血球や過剰のコレステロール等を排出する役割もあります。
以上が「消化酵素と消化成分1」の解説でした。「消化酵素と消化成分2」では第3章で出題される部分を中心に説明していきますので、ぜひ勉強にお役立てください。
試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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